世界はクリーンになっている。
(日本だけの話かもしれない)
20年ほど前と比べて驚くほど変わっていると感じることがある。少し昔の日本は喫煙者の存在はマジョリティだったが、今では非喫煙者の方がマジョリティのようだ。タバコの値段は上がり、副流煙の危険性が周知され、公共の場は禁煙や分煙化がされた。
ここまで世界が変わるとは思わなかった。
将来的に飲食店での喫煙すら禁止にすることが要望されていることなど信じられないぐらいだ。
同じく、飲酒に対する法令遵守も極めて進んだ。飲酒運転への取り締まりや罰則も厳しくなり、未成年の飲酒に対する目も変わった。
コンプライアンスという言葉が一般的になり、セクシャルハラスメントやアルコールハラスメントが問題視されるようになった。
男女平等が進み、女性であること弱者ではなく単なる個人の属性になりつつあるように思う。
街は綺麗になり、ホームレスは排斥され、暴力団は祭から排除される。
世界はクリーンになっている。
あらゆるマナーアップが啓蒙されている。
教育機関から体罰はなくなり、家庭での虐待が疑われる場合には通報が推奨されている。
暴言も暴力の一種であり犯罪行為であるとポスターは語る。
国民には番号が振られ、街中にある防犯カメラは犯罪の検挙に役立っている。
時には陰惨な事件も起こる。
でも、それは現代だけの問題ではなくいつの時代にも人間はそのような問題を起こす。
ある意味で人間活動の一種であり、普遍的なものである。
世界は清浄になっていっている。
少しずつ、気付いた時には驚くべきスピードで。
表現にも正しさが求められている。
間違いはリアルタイムで正されていく。
いつか、この未来はもっとクリーンになっていくのだろうか。(禁酒法のように揺り戻しがあるのだろうか?)
澄み切った泉に魚が住めないように、ナウシカの旧人類と改造人間たちのように、あまりに正しい世界に人間は住むことができるのだろうか。
世界はクリーンになっていく。
世界はまだまだ曖昧だけれど、どんどんと区画整理されていく。
いつか、暴力はフィクションだけの存在になるのだろうか。まだ、今はその過渡期でよかったと思う。